もう一度、君と…。
あとは…君だけ。
朝早く学校に行くと、女子に囲まれて、嬉しそうな多和が居た。
私には…笑わないのに。
少しだけチクリと傷んだ胸。
「ねぇ、次はあたしとキスよね?」
ギャル系の女の子が多和の腕に絡み付く。
「…ん?そうだっけ?」
廊下を歩いている多和。
私、今日可笑しいのかな?
沙苗ちゃんと話してから、多和の事になると…苦しい。
私はどうしていいか分からず、立ち尽くす。
多和は女の子に微笑んでキスをした。
「ねぇ、多和君。さっきからあの子、ずっとコッチ見てるよ?」
私を見てクスクスと下品に笑う女の子たち。
多和は…訳が分からん、と言いた気に振り向いた。
「…恋羽?」
「…」
何?…の声も出ない。
ねぇ、ぶさまでしょ?
どうして欲しいの?
ねぇ、多和。
なんであの子には、自分からキスするのに…、私にはしてくれないの?
もう、多和が分からない。
「…ごめんなさい」
私は来た道を戻った。