もう一度、君と…。
私に向けてか、笑顔が向けられた。
…いや、スマイルなんて頼んでないから…。
私はどうでも良くなって、窓の外を見た。
もう11月下旬の空は、とても澄んでいて綺麗だった。
後一週間もしたら入試だ。
この県とは違い、高美桜笑は5教科。
一般入試のように面接もある。
私はスポーツ特待ではなく勉学特待だから、入試が終わってもスポーツをしなければならないことがない。
「〜〜〜〜だな!真夏、後は頼んだから」
「…?」
頼んだ?
先生はすぐに出て行ってしまった。
前に立っている彼もきょとんとしている。
「「きゃーーー♡」」
女の子達は彼の周りに集まって、質問攻め。
「…百合?」
「…聞いてた?」
苦笑いの百合。
「…ごめん、興味なくて…」
一言も聞いてなかった。
「…隣の真夏に色々教えて貰え」
「…私が教えるの?」
コクリと頷く。
「え…嫌なん「あの…」
隣には彼が立っていた。
…誰だっけ?
「…ま、真泉晟弥。よろしくな!」
眩しい位の笑顔。
だから、その笑顔頼んでないから…!
「…真夏恋羽。隣だからよろしくね」
この人には笑顔を向ける気になれず、真顔で言う。