もう一度、君と…。
私は机から教科書を出して、隣の机の上にドサリと置く。
「…え?」
「…私、特待来てるから。来週まで貸すから」
私はそう告げて、突っ立っている真泉なんとか君を見つめる。
「ありがとう!…お前って優しいし…、可愛いのな!」
サラッと爆弾発言を言って、ニカッと笑う。
か、可愛い?
私は百合を見つめると、良い奴だね…と目で訴えてくる。
…そうかな?
私には、その良い奴が分からないけど…。
授業は数学で、私立で特待来てる人は、自分の好きな教科をやっている。
「…真夏」
「…」
私がしょうがなく顔を上げると、すぐ近くに顔があった。
私は驚きもせずに、早く…と言わんばかりにガンを飛ばす。
「…コレ、分かる?」
過去問をやっているのか、分からないようだ。
「…解説読んでみたら?」
「分かんなかった」
困ったように苦笑い。
「…」
私は一度睨んだものの、溜息をついて、問題集を自分の方に引き寄せた。
私はルーズリーフにスラスラ…と文字を書いていく。