もう一度、君と…。
「…先生」
「…ん?」
数学の先生が振り返った。
すると、晟弥は何食わぬ顔で、問題集を見ていて…。
「…真夏さんが具合が悪そうなので、保健室に行ってもいいですか?」
「おー、行って来い」
多和は私の肩を優しく支えてくれた。
教室を出て、静かな廊下を二人で歩く。
「…多和?」
背の高い多和を見ずに私は呟く様にして言った。
「…何?」
「…ありがとう」
「分かってる」
少し笑う多和を見て、ドキッとした。
「…まだ震えてるけど…怖い?」
私はコクリと頷く。
早く席替えしたい。
私はキュッと多和の制服を握った。
「…恋羽?」
多和…?
ホントに久々だね。
私……、こんなにも会いたかったよ。
涙が一粒、また一粒と零れた。
「…な、泣いてんの?」
多和は私が泣いてるのを見て、焦る。
初めて多和は、私を抱き締めてくれた。
私、やっと分かった。
多和が好き過ぎて、堪らないんだ。
多和が急に髪を除けて、首筋を見た。
「……アイツ」
「…?」