もう一度、君と…。
昔と今は違う。
「…入ってどうぞ」
「…失礼します」
私は扉を開けて、静かに閉めた。
そして椅子の横に立つ。
「受験番号、中学校名、名前をどうぞ」
目の前に座っているのは沙苗ちゃん。
私は少し笑う。
「…受験番号・1192番。東ヶ浦中学校の真夏恋羽です。よろしくお願いします」
「座って下さい」
「…はい。失礼します」
私は微笑んで座った。
私はあの日以来、多和と目を合わせられなくなってしまった。
晟弥はなぜだか、私にちょっかいをかけてくる。
私はそんなに軽くないし、無視したり、避けたり…。
…それに、私は気付いた。
私は多和が好き過ぎて堪らない事に…。
今まで私は気付いていたけど、『違う』と言い聞かせて来た。
そして、多和が女の子とイチャついてるのを見て、自分が悲しまない様に、…と偽りの自分を創り上げてきた。
私は人と話すのが苦手。
どうしてかって?
『恋羽ちゃんって、自分可愛いと思って男子に近づいてるよね』
『確かにっ!すっごいむかつく!』
最初はイジメから始まった。
別に良かった。
彼女達にはそう見えてしまったんだから…。
でも、悲しまない様に…。
そこから偽りの自分を創り上げてしまった。
それに…小学校は、『ハンドボール一筋』で男の子なんか眼中になかった。
『気色悪い』
なんて言えないし…。
困った様に笑みを作る程度。
それをどう勘違いしたんだろうね?
流石は小学生。
まぁ、私には彼女達の気持ちなんて一生理解出来ないことも分かっていた。