もう一度、君と…。
ーー小学生
「…真夏!」
体育の後、のんびりと廊下を歩いていたから、周りは誰も居ない。
「…何?」
黒髪の短髪でニッコリスマイルも絶えない。
顔も整っているし…、スポーツ万能。
…まぁ、私も負けてないけどね?
コイツの次に速い自信はある。
「…放課後さ、予定とかある?」
「ない」
「……」
せっかく答えてあげたのに…。
無言で見つめられて、目を逸らす。
「…お願いあんだけど…」
二重のパッチリ目が不安に揺れる。
私は少し首を傾げて、どうぞ?…と言う様に目で訴える。
「…ハンドボール、やってみないか?」
ポートボール?
…ゲートボール?
…何?
「ハ・ン・ド・ボール!」
「……舐めてんでしょ」
私は気味悪く思い、スッと下がる。
「だって…耳悪いんだと思って」
真顔で言われて、正気か、と心でツッこむ。
「帰り待ってるから」
「…分かった」
私は静かに舐めてきた子の背中を睨んだ。