もう一度、君と…。

ドアが開いて、入って来た高校の先生。

「はい。これから筆記やります」

私は一瞬、慶ちゃんと目があったけど…、笑えなかった。

グルグルと考える裕貴君のこと。

国語の問題用紙が配られて…。

私はどうしてココにいるんだろう?

…なんて、私らしくないことまで思ってしまう。

「はじめ」

ペラッと捲ると、スルスラ…と手が動く。

文字で埋め尽くされて行く解答用紙。

この学校は終わった者から、退出可能。

25分が経ち、私はサッと手を上げた。

「…終わりました」

「「っ…?」」

周りは驚きでこちらを向く。

先生は私のすぐそばに来て、解答用紙を全て埋めてあるかを確認して、

「いいよ、寝てても」

私はペコリと頭を下げて、机に突っ伏した。


数学も、英語も…、理科も社会も…。

私はよくも分からず、机に突っ伏していた。

寝る訳でも、目を閉じる事さえ…拒むように…。

暗闇を静かにただただ見ていた気がした。


「帰りは気を付けて帰りなさい」

その一言で、皆帰って行く。

教室には、いつの間にか…私と慶ちゃんだけが残った。

「…慶ちゃん、なんで…、言ってくれなかったのかな?…裕貴君は、私が嫌いだったのかな?」

私はポツリポツリと話しかける。

「…明日、暇?」

慶ちゃんは急に言い出す。

「…学校あるけど…」

「…休んでくれる?一緒に墓参り行かないか?」

……裕貴君に会えるの?

「分かった」

「…裕貴、恋羽に渡したいものがあったんだ」

……どういうこと?

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