もう一度、君と…。
「裕貴は、恋羽を嫌ってなんてないよ。…だから、泣くなよ」
私を見て寂しそうに笑う。
「…うっん」
私は自分で涙を拭って、笑った。
「…明日の8時に倉石駅に集合な?…よし、行くか!」
慶ちゃんは笑って、優しく右手で私の左手を握った。
「っ!?け、慶ちゃんっ?」
私は驚きで、慶ちゃんを見つめる。
「マヌケ顔だな?」
私の顔を見て、真顔で言われる。
「っ!?も、もうっ!慶ちゃんなんてき」
私が『嫌い』と言おうとすると、スッと口元に手が伸びてきた。
「…嫌いなんて…言うなよ」
涙声で聴こえてきた…慶ちゃんの声。