もう一度、君と…。
初恋相手の宝探し。
私は今、慶ちゃんと二人で電車に乗っている。
今日は普通に学校があったけど…。
お母さんに訳を話したら、
「いってらっしゃい」
って言ってくれた。
私の右手には、綺麗な花束。
左手は慶ちゃんの右手に包まれている。
「「…」」
ただひたすら電車を降りて、無言で歩く。
【精の森→入り口】
看板にはそう書いて在る。
「…綺麗だね」
私は呟いた。
…今ココに…、裕貴君が眠っている。
【山岡 裕貴】
きっと裕貴君しか眠っていない。
私はすぐに立ち止まった。
花束を供えて、一歩離れた。
私は一日で気持ちの整理をしてきた。
でも、裕貴君が渡したいモノは決して分からなかった。
「…慶ちゃん?」
「…墓をまんべんなく調べてみな?…手掛かりが見つかるから」
微笑んで、私の頭をポンポンと2度撫でて、何処かに歩いていく。
「け、慶ちゃんっ!」
私は思わず叫んだ。
「…?」
慶ちゃんは振り向いた。
「ど、どこに行くの?」
「…そこのベンチ、待ってるから」
にこやかに微笑んで、また歩きだした。
私はお線香を供えて、手を合わせる。
どうして言ってくれなかったんだろうね?
私は自嘲気味に笑う。
そして、目を閉じた。
こうすると…昨日のように思い出される。
皆は私をチームメートとして接してくれた時が…。