もう一度、君と…。
「恋羽、見ろ見ろ!」
灯真君は練習後、私に近寄ってきた。
「…ん?…え!?」
右手にはしっかりとボールをつかんでいて…。
「すげぇーだろ!?」
「う、うんっ!」
興奮気味に頷く。
隣にはいつの間にか慶ちゃんが…。
「…手、でかくなったか?」
真剣に言う慶ちゃんを、灯真君はハハッと笑った。
「まーな!」
「あ、俺っちも出来んぞ?」
大地君がニコッと笑って、ボールを右手に掴む。
「うぉ!すげぇ」
慶ちゃんはそう言いながら、真剣に観察。
「だってよ、シュートん時に、楽に力が入るんだよ」
私を見つめて、顔を赤くする大地君。
「すっごいね」
「だろ!?…俺っち、めっちゃ練習した」
大地君は嬉し気に笑う。
それに…大地君はいつも自分の事を『俺っち』と呼ぶ。
私は自分の手を広げて見つめる。
…どうしても女の子だからか、体も小さい。
ハァと溜息をつくと、サッと手の横に2本手が伸びてきた。
私が顔を上げると、裕貴君だった。
「そんなに落ち込むなよ?…僕だって小せぇし」
少し恥ずかしがりながらも、励ましてくれていて…。
「ホントだ。…でも、私よりも大きいし、…大きいよ、裕貴君の手」
私は自分の手を裕貴君に重ねた。
「んー、大地はサイドシュートばっか打つから力が必要だし、灯真はロングシュートばっかだろ?センターもたまに必要だけど…たいしたもんじゃないよ」
キッチリと説明をしてくれる裕貴君。
「…そ、だね」
凄くドキドキしてる胸。
「…2回目の大会だけど大丈夫?」
そう、私達は大会に一度しか出たことがない。
「…うん。私達、初大会で初優勝したから有名だよね」
「確かにぃー」
私の肩に顎を乗せて、会話に入ってきた 那智君。
「有名だけどさ、ぶっちゃけ全国大会行って見たいよな」
夢のように語る裕貴君。