もう一度、君と…。
「私も行きたい」
夢のような世界だけど、体験してみたい。
私達は、この県のハンドボール界では有名。
そして律儀に名称までついている。
キャプテンで、ゴールキーパーの裕貴君は…【神手の守護神】。
レフトウィングの大地君は、【レフトスプリンター】。
ライトウィングの 那智君は、【ライトスプリンター】。
フローターである、私と灯真君、類君。
ライトバックの類君は、【優遇のライト】。
レフトバックの灯真君は、【得点エース】。
センターバックの私は、何故だか【女神のセンター】。
ピヴォットプレイヤー(ポスト)の慶ちゃんは、【ウォールポスト】。
私達7人は、一点もゴールを取らせず、沢山の得点を入れていた。
裕貴君はその大会で、60本近くのシュートをとめている。
エースである灯真君は、その大会史上最高の41点。
それに続いて、類君が38点。
私の36点。
慶ちゃんの35点。
大地君と 那智君もそれぞれ24点ずつ。
「…【神手の守護神】か」
裕貴君の右手を、両手で掴んだ。
その手は傷だらけで…、…とても大きく見えた。
「…裕貴君の手は大きいよ」
私は5cm近く背の高い裕貴君を見上げた。
すると、顔を真っ赤に染めて、恥ずかしそうにしながらも、はにかんだ。
「…っ!?」
私は声に出ない驚きの声をあげる。
私の胸はドキリと跳ねる。
だって、ギュッて抱き締められたんだもん!
「…恋羽は小せぇ」
イタズラっ子の様にニヤッと笑う。
「う、うるさい!ち、小さくないよ」
照れ隠しなのか、自分でも分かんなかった。
「…でも、小さい方が可愛いし、護りがいあるよ」
顔を上げると、裕貴君とすぐ近くで目が合う。
その顔はとても優し気で、男の子ってらこんなに綺麗に笑えるんだな、って思うほどだった。