もう一度、君と…。
ーー全国大会。
私達【羽翼】は全国大会の決勝戦まで行ったんだ。
その前の試合で私はトリッピング(相手選手に足をかけられること)をされそうになった。
引っかからない様にって避けたけど、着地に失敗して…捻ってしまった。
だから、思った様に動けなかった。
ディフェンスも思った様に機能せず…。
全国の優勝候補だけあって、ゴールの狙いが半端なかった。
…そして、一点差で負けてしまったんだ。
裕貴君をどうしても頂きに登ってもらいたかった。
だから、凄く悔しかった。
攻撃の要である、センターバック。
私はその場で座り込んでしまったんだ。
しかも…泣きながら。
すると、目の前に裕貴君がしゃがんだ。
「…ごめんなさい」
「恋羽のせいじゃないよ。笑って?」
「…笑えないよ。…せっかく、裕貴君の夢に近づいてたのに…!」
私はハンドボール用の両面テープを指から取った。
…裕貴君を、見つめると、顔を背けてしまった。
「…目、閉じて」
私は不思議に思いながらも、目を閉じた。
周りは一瞬にして静かになった。
自分の唇に、とても柔らかいモノが触れる。
そして、ギュッと抱き締められた。
「目、開けていーよ」
「…何したの?」