もう一度、君と…。
全ての道が正しかったとは、言い切れない…私の人生。
試行錯誤…これを繰り返しながら…。
もう前を見て、進もうと思う。
…そして、裕貴君が望んでいる。
前を見て、笑わなきゃ。
絶対に裕貴君は忘れない。
もう忘れるなんてできっこない。
ネックレスを見て…、ブレスレットを見て、君の生きていた頃を思い出す。
君とキスしたコト。
抱き締めて貰ったコト。
一つひとつ…鮮明に。
…一生懸命に生きていた裕貴君みたいに、私も生きよう。
裕貴君の『愛してる』の言葉も…。
おとぎ話にしてはいけない。
前の私は、全てを失うコトを恐れてて前を見ていなかったし、進むコトさえおろそかにしていた。
…でも、もう大丈夫。
全てじゃない。
私には百合がいる。
実波君もいる。
慶ちゃんもいて、バスケ部の後輩だって…。
羽翼のメンバーだって…。
そして、絶対に裏切らない家族がいる。
「…多和、私はもう一人でも大丈夫だよ」
私は周りに聴こえない様に呟いた。
私は多和の存在を頼りにしなくても、大丈夫。
きっと、今の私は清々しい表情をしていると思う。