もう一度、君と…。
春休みの瞬殺。
「慶ちゃん、慶ちゃんっ」
可愛く笑って、俺を惑わす女神様。
真夏恋羽。
インドアスポーツのせいか真っ白な肌。
パッチリと二重の汚れのない真っ直ぐな瞳。
運動をしているとは思えないほどの細くて綺麗な身体。
真夏恋羽は、俗に言う…美人な分類の頂きに居る。
「…んー?」
俺は思わず目を細める。
「…お昼だけど。てか、那智君とか待ってるよ?」
ブスッとして、俺の頬をしなやかな細い指でツンツンと突っついてくる。
「…わかってる。俺朝苦手」
毛布に包まると、ぎゅっと何かに抱きしめられた。
…え?
ドキドキと高鳴る胸。
期待を寄せてそっと顔を覗かせると…そこには。
「…那智?」
思わず顔に出る。
…俺、恋羽だと思ってたんだけど。
「あっれーー?俺じゃダメだったかなぁ?」
ニッコ♬と女らしい顔をしている那智に言われると、不覚にもドキッとしてしまう。
「…もう。ラブラブするならよそ行けよ」
大地が眠そうな声で言う。
ラブラブしたいのは恋羽となんですけど!!
男とラブラブとかしたくないし…。
「…はぁーやぁーくぅー」
恋羽らしくない伸ばし言葉。
ネックレスをみて幸せそうに笑いながら、俺を見る目はまさに女王様。
俺はきっと下僕なんだろうか?
…それだけは避けたい。
恋羽がお姫様とか…似合いすぎじゃね?笑
「…なぁ、慶。この本借りてもいーか?」
類が俺の勉強机に足をくみながら座っている。
そして、俺の推理物の小説をもって、子供のように目を輝かせている。
…類が珍しい。
「…類君、面白い?」
恋羽がスタッと立ち上がって類に近づいて行く。
「おぉ。慶らしくないよな。…なんというか…恋羽好みじゃないか?」