もう一度、君と…。

百合明学園につくまで、恋羽は大地の手を離さなかった。

…まだ不安なんだと思う。

まだ1ヶ月も経ってないチームで勝ちに行こうなんて思ってはいない。

それに…恋羽はこの年になって、まだ一度も俺ら以外の男と手を合わせたことはない。

だから、この試合で恋羽の心の持ち用が決まってしまう気がして…。

俺は不安に押しつぶされそうになった。

「…もう大丈夫。ありがとう。慶ちゃん…困らせてごめんね」

恋羽の表情は軽くなっている。

でも、俺の不安は消えない。

もし…恋羽が怪我したら?

もし…恋羽が戻らぬ人になってしまったら?

もし…恋羽が男に変なの事されたら?

俺は…どうすればいい?

恋羽を失うなんて嫌だ。

…きっと恋羽以上に、俺は不安だよ。

好きだから、危ないことはさせたくない。

体育館に入ると…16にんくらいの人がいて。

あれ?

やけに少人数だな、と思った。

< 172 / 291 >

この作品をシェア

pagetop