もう一度、君と…。
バレーの練習試合が終わって一度家に帰ってから、俺の家に集合。
「お祭りだね、皆っ♬」
恋羽は久々の夏祭りなのか、はしゃぎにはしゃいでいる。
「…恋羽、母さんがどうしても恋羽に着てもらいたいんだって浴衣作ってたよ」
俺は恋羽を奥の部屋に案内する。
俺の両親は、浴衣のブランドを持つほど有名。
まぁ…和風な家。
それでうちには女の子がいないから、毎回小学校の頃は新作を恋羽に着て貰っていた。
だからいつも母さんは浴衣か着物だし。
「ホントにっ!?嬉しいなぁ?由良(ゆら)おばちゃんの浴衣着れるなんて!」
由良とはウチの母さんの名前。
「…そーかなぁ?」
俺はいつも母さんや父さんの操り人形だった。笑
父さんには男物の浴衣着せられるわ。
母さんには…なぜだか女物の浴衣を着せられることもあった。
中学入った時、俺はやっぱり不満だった。
どうして男の俺が女物の浴衣を着なきゃなんないのか…。
『…母さん、俺は女じゃないよ」
採寸の時に、俺は不機嫌丸出しで母さんには言った。
「……ごめんね。うちには女の子がいないから…」
母さんはいっつも済まなそうに…、その人ことを毎度の如く述べていた。
「…揺早(ゆさ)」
母さんは急に採寸の時に呟いた。
…揺早って誰?
俺の友達にはそんな子いない。
「…母さん、『揺早』って誰?」