もう一度、君と…。

「「集合っ」」

恋羽と海崎はクルリと体を反転させながら、集合をかけた。

プレイヤーたちは一目散に恋羽の元に。

「…あの人、私は好きじゃない。倒せる敵は目の前です。ぶっ潰して下さい」

ニコリと笑って、すっごい事を言っちゃってる恋羽。

「「オッス!」」

それに全力で返事するプレイヤーも凄い。

マジかよ。

ぶっ潰して下さい…真面目に危ないよ。


始まった試合。

最初のジャンプボールは、高美桜笑がとった。

司令塔であるガードが運んでくる。

ゆっくりと見極めてるのは…なんとなく恋羽のプレイスタイルに似てる気がする。

ガードは自分にディフェンスが付かない事が気に食わなかったのか…。

「…俺だって打つし」

そう呟いたように見えた。

ガードはスリーポイントより離れた位置から、シュート。

それは綺麗に弧を描いて、吸い込まれて行く。

ーーシュバッ

高美桜笑が先制点。

こっから更に力を出して行く高美桜笑。

それに結局タジタジの前岡。

あーぁ。

俺は少し笑ってしまった。

やっぱり恋羽が教えると…プレイスタイルが綺麗だ。

惚れるスタイルをしているのかな?

暁と言う男は、ポストに入ったり、スリーポイントを打ったり…。

大変なはずなのに…とても楽しそうだった。

1クォーター目を制したのは、「完璧の高桜」。

でも恋羽はもっとガツンと見せ付けたいのか、向こうのベンチになんだか交渉しにいっている。

俺は不思議に思いながら…眺めていると…。

暁と言う男と目があった。

ニコッと微笑まれ、俺も取り敢えず笑顔を返す。

手招きをする暁…。

俺に降りて来いって言ってる?

俺は取り敢えずに体育館に降りると、暁が待っていた。

「君が恋羽の彼氏さんか!イケメンだな!」

クシャクシャと髪の毛をなで繰り回す暁。

「…イケメンではないですけど。恋羽のこと好きなんですよね?」

大体こう言う時は、皆恋羽のことが好きだ。

「…いや?俺は恋羽のプレイスタイルとかはすっごくすきだけど、女としては見てないよ?」

「…そーなんですか」

俺は驚いた。

「なんかなぁ…妹って感じがするんだよ。皆恋羽のことが好きっていうんだけどよ…俺にはわかんないねぇー」

ガハガハと笑う。

「…あ、俺のことは暁でもいーから」

「俺は慶介です。…年上じゃないんですか?」

「いーや。年上だけど…ホラ、学校違うし!プライベートでも上下関係は好きじゃないからさ、俺」

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