もう一度、君と…。

「…大丈夫だよ。恋羽…その言葉聴き飽きたよ」

俺は「ね…?」と笑うと、恋羽は少し笑った。

「…大丈夫だよ?私の1番の強さの理由は…慶ちゃんだから」

きみはそう言って、屈託のない笑顔で言ってくれるけど…。

君の一番はやっぱりアイツなんだ。

苦しいくらいに…雪道多和のことだけ。

付き合ったけど、苦しい。

類にはもうばれてた。

『お前は弱いな』

そうだよ、俺は弱い。

でもさ?

その弱さで、恋羽を幸せにすることを考えた。

でも、長くは続かない。

「…私は多和が一番だよ……あ」

ホラ、君の一番は、雪道多和………アンタだ。

恋羽のやってしまった…と言う顔。

でもさ、大丈夫だよ?

俺は大丈夫。

…きっと【大丈夫】って言葉は、弱い自分を隠す為に使う言葉(道具)なんだと思う。

「………信じてる」

大丈夫なんて使わない。

俺はニッと笑った。

恋羽の顔から笑みが消えた。

涙目の恋羽。

そしておもむろに転がっていたボールを手にとって…。

思いっきりシュートをした。

ガコンッと音と共に…外れたシュート。

高美桜笑の皆は驚いている。

…恋羽、言ってたっけ?

高美桜笑の選手の前ではシュートを外したことない、って。

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