もう一度、君と…。

否定と肯定 灯真サイド


「おーい!灯真君」

向こうで無邪気に手を振る恋羽。

俺は笑顔で振りかえした。


限島 灯真。


俺は…誰かを好きになることが出来るんだろうか?

俺は他人が怖い。

よそよそしくて…内心を見せない。

笑顔でいても…心では嫉妬に満ち溢れている。

人間って賢いよな?

…他人の言葉を読むし、読まれるんだから。

あーあ。

これが俺。

他人には深く関わらない。

…一番心を許せたのは?

そりゃ……裕貴だよ。

裕貴は他の奴とは何処か違った。

俺はしょっちゅう家出を繰り返す、聞き分けの無い子供だった。

家出をした時は、必ずと言っていいほど…裕貴の家に泊まった。

『好きなだけいなよ。俺は恋羽の所に行ってくる』

裕貴はニコリと笑って、家を出て行った。

俺は…何処か安心した。

裕貴は自然体だし、自分を一番に考えたりはしない。

優先順位は…まぁ、いつも恋羽だったけどな!笑

今一番…心を許しているのは、恋羽なんだ。
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