もう一度、君と…。
「…っ、ひゃあ」
もうパニックを起こしかねない恋羽。
俺も走って、その場に行く。
…一番理解出来てない俺だけど、なんで俺たちの名前を知ってるんだ?
「…恋羽を離せよ」
慶のとてつもなく低い声が響く。
その人は笑みを絶やさない。
「…僕は」
その人が名乗ろうとした所で…。
「貴誇(きこ)兄!迷子になんないでよ!」
向こうからかけてくるのは…裕貴の弟・未来だった。
「…未来、なんでココに?」
俺が言うと、未来も驚いている。
「…灯真兄も慶兄もいるの?あ、恋羽ちゃんも!…って貴誇兄、離せや!」
マシンガントークを繰り広げてる未来。
「…未来に見つかっちゃったよ。僕見つかんないって思ってたんだけどな」
無邪気に笑う。
「未来、この人誰?」
慶は不愉快そうに言う。
「嗚呼、慶兄たちは知らないよね?アメリカ留学してた長男の山岡 貴誇。裕貴兄と俺の実の兄」
「「っ!?」」
兄貴!?
…嘘だろ?
そりゃ、恋羽も勘違いするよ。
俺は苦笑いを思わず漏らす。
「ごめんね?僕てっきり知ってるんだと思ってたよ。お葬式でもあったし」
「えっ…会いましたっけ?」
俺の声に、慶も頷く。
「…うん。バッチリ会ったよ?でも皆悲しんでたから…お葬式の内容憶えてなくない?うろ憶えでしょ」
ニコニコと笑う貴誇さん。
…まぁ、そーなんですが。