もう一度、君と…。

あの貴誇さんのことがあってから少し経った。

あれ以来、あの話には触れていない。

…恋羽は気になる素振りなんてしなかった。

気になっていたのに…。

貴誇さんは、同じ高美桜笑高校の3年生の言うことを知った。

向こうはずっと前から知っていたらしく…。

度々俺と恋羽のクラスに来ては、恋羽をなんとか家にこさせようと奮闘している。

その姿は…何故だか少し笑えた。

なんでだろう。

行ってもいいんじゃないか、なんてことさえ思える。

でも恋羽は行かなかった。

きっと貴誇さんは、理由があるんだ。

でも…恋羽は揺るがない。

きっと、ブレスレットはホントに貴誇さんが買ったと思ってる。

…多分あれは、裕貴が買ったんだ。

貴誇さんとはまた別のセンスをしている裕貴。

貴誇さんは、少し濃いめの色をよく小物に取り入れる。

…でも裕貴は、柔らかな薄くて透明な色を愛してた。

恋羽の着けてるネックレスとブレスレットは、今の推測から言うと裕貴だ。

恋羽はもう気づいてる。

でも何かが恋羽を行かせないんだ。

…俺かな?

俺が悪いんだよな。

あの時、ちゃんと「行って来いよ」そう言ってやれなかったから。

恋羽に「ちゃんと待ってるから」って言えなかった。

弱かった自分がホントに情けない。

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