もう一度、君と…。
俺たちは寮に住んでるから、ゆっくりと歩いていた。
周りの人々は、皆早足。
周りと時間の流れが違う気がするのは、俺だけだろうか?
今だに慣れない東京の大都心。
「…何をあんなに急いでるんだろ」
首を傾げる恋羽。
あ、恋羽も同んなじだ。
「俺も思った」
恋羽の手を握り締めると、嬉しそうに握り返してくれた。
「…急がなくてもいいのになぁ。まだ人生は長いのに」
悲しそうに笑うと、フーと俺の握っていない左手に息を吹きかける。
「寒い?」
「うん」
あ、今日の恋羽は素直だな。笑
俺はポケットに入っていたカイロを恋羽の右手に握らせる。
「うわぁ!あったかい!慶ちゃんみたい♬」
ふんわりと笑う恋羽。
最近やけに、裕貴に似て来たように思える。
なんでだろうな。
俺、裕貴に聴きたいな。