もう一度、君と…。
目を開けると、空からは『雪』が降っていた。
「…俺はいつになったら…あの子を忘れられるかな」
自嘲気味に笑う。
ベンチから立ち上がり、部活を思い出す。
「…先輩、明後日練習試合があるって言ってたっけな?」
俺は中学からサッカーをしている。
サッカーで屈指の…繋田高校に通っている。
A特だったんだけど、A特の更に上…2A特待を貰った。
寮も免除。
あの子は何処の高校に行ったんだろう?
俺は都会とは言い難い場所にある公園を後にした。
都会だけど…ココには自然がある。
暇な時は必ずと言っていいほど、ココに来てしまう。
街に出ると、行き交う人々は皆早足。
そりゃ、当たり前か。
東京にきて、もうすぐで1年なのに…全く都会に慣れやしない。
マフラーをグルグル巻にして、ウォークマンで曲を聴き…、ポッケに手を突っ込んだ。
ランダムに曲を流していると…、女の子が好きそうな歌詞が耳に流れ込んでくる。
どうするコトもできずに苦い顔をしていると…、いっきに雪が強くなる。
…なんだよ、冬雪のLOVEソングかよ…。
皆、傘を差して歩いている中、俺はただ一人、歩き続けていた。
「…さむ」
一言呟いた瞬間、……雪がやんだ。
俺が空を見上げると、…女の子らしい可愛いガラが目に入ってくる。
傘?
「…あの、傘…あげます」
俺に傘のえの部分を持たせて、男の元へ行ってしまう女の子。
…確かあの制服、高美桜笑高校だよな?
…頭良いんだな。
顔が見れず、とても残念。
しかも、彼氏持ち。
…モノクロのマフラーに、ピンクの耳当て、真っ赤なニット帽。
髪はセミロングで、毛先がクルリと内側に向いている。
焦げ茶色の髪の毛は…とても綺麗だった。
彼氏と二人で人混みの中に消えていく…。
「…俺、ありがとうって言ってないんだけど…」
また…会えるかな?
俺はありがたくその可愛らしい傘を貸してもらうコトにした。
寮は8時前に帰らないと締め出しを食らう。
まだ6時だと言うのに、早くも暗い。
曲はあっという間に変わっていく。