もう一度、君と…。
見つけたあの子。
「多和!」
廊下の突き当たりから叫んでやってくる礼子。
「……何」
周りは俺と礼子が付き合っている、と噂をしている。
でも、俺の態度が冷たいことから…付き合ってないんじゃないか…とも言われている。
…付き合ってないけどな。
否定するのも面倒だから。
「あのさ、試合観にいかない?」
ニコッと笑う礼子。
「…ふーん。で」
めんどくさくなって歩き出すと、礼子もチョコチョコとついてくる。
「ハンドボールだよ?なんかすっごいチームがあるらしいんだ!」
一人でに話しを続ける。
ハンドボールか…懐かしい。
俺は礼子の話を聞かずに、
「いいよ」
真顔で呟いた。
俺は小学生の頃、ハンドボールをやっていた。
全国大会は毎年の常連だったし、優勝候補でもあった。
チーム名は、【川湖(かこ)】。
「ホント!?やった、嬉しい」
ギュッと抱きついてくる礼子。
「やめろよ…」
俺は顔を歪ませる。
俺は…まだあのコトを忘れられない。
礼子は俺の表情に気付いて、離れた。
「…はい、チケット!」
「…?」
なんでチケット?
訳の分かってない俺の手にチケットを握らせる礼子。
「…なんか有名になり過ぎて、チケットが必要みたいなの!…でも練習試合、らしいんだよね。男子5人の女子1人の6人チームでやってるらしいんだ」
「…そう」
「じゃ、明日は駅に集合ね!」
礼子はそう言って去って行った。
礼子は川湖のメンバーの一人。
それに晟弥も同じ。
川湖のメンバーは20人弱はいた。