もう一度、君と…。
試合をみると、20点差をつけて、羽翼が勝っている。
恋羽が得点を入れる度に、ポストの男に頭をクシャクシャに撫でられている。
声まではさすがに聴こえないけど…、口の動きで少し分かる。
《流石、俺たちの女神だな》
《もうっ、慶ちゃんやめてよっ》
髪を直しながら、嬉しそうだった。
…雪の日にみた、あの男に似ている気がする。
「…恋羽」
俺の声は、周りの盛り上がりに掻き消される。
辛い。
俺は礼子に「ごめん」とだけど言って、席をたって…会場をでた。
その時、恋羽が俺の後ろ姿をみていたなんて知らずに……。