もう一度、君と…。

試合をみると、20点差をつけて、羽翼が勝っている。

恋羽が得点を入れる度に、ポストの男に頭をクシャクシャに撫でられている。

声まではさすがに聴こえないけど…、口の動きで少し分かる。

《流石、俺たちの女神だな》

《もうっ、慶ちゃんやめてよっ》

髪を直しながら、嬉しそうだった。

…雪の日にみた、あの男に似ている気がする。

「…恋羽」

俺の声は、周りの盛り上がりに掻き消される。

辛い。

俺は礼子に「ごめん」とだけど言って、席をたって…会場をでた。


その時、恋羽が俺の後ろ姿をみていたなんて知らずに……。

< 253 / 291 >

この作品をシェア

pagetop