もう一度、君と…。
今年こそ?
…いやいや出ないから。
俺は呆れ顔で灯真を見つめた。
「…あーあ、多和。顔が台無しだよ?」
可愛く笑って俺の頬をツンツンと突っつく那智。
「…悪いけど俺ー」
「…恋羽が来るとしてもか?」
「……え?」
俺は久々に聴いた名前に驚いた。
「…ごめんね、多和。俺たち知ってるんだよ」
那智は苦笑いで俺をみつめた。
灯真も罰が悪そうに視線を下ろす。
「…そっか。…幻滅しただろ?俺はお前たちの大事な恋羽を傷付けたんだ」
俺は少し笑う。
怖かった。
仲良くなった友達を失うのは…。
でもそれ以上に恋羽を失いたくはない。
自分の中からいなくなってしまうのはそれ以上に悲しい。
「…そんなことないよ?俺だって…この前、泣かせたから…」
寂しそうに那智は言って、苦笑を漏らす。
「…お前なぁ?俺だって普通に酷いことしちゃうし!この前だって恋羽の顔面にボール当てたばかりだしよ…」
ハハハッと空笑いの灯真。
「…そーか。でも灯真、それは頷けないわ」
綺麗な恋羽の顔にボールを当てるなんて…。