もう一度、君と…。
…なんとなーく分かった気がした。
きっと…山岡裕貴。
きっとその名前だ。
「…山岡裕貴、だろ?」
俺が言うと当たり前か!笑…なんて言う。
裕貴を知らない奴はいない。そんな言い方に聞こえるのは俺だけ?
「…裕貴は凄いやつだよ。周りをよく視てるし、カッコイイし…。何も不自由ない奴。でも…欠点はあるんだよ、人間なら誰しも…」
俺はゴクリと息を飲んだ。
俺は…灯真から聴いてしまった。
「…難病持ち。欠点がそれなんて可哀想過ぎるよ。皆が心を一番に預けていたのは…裕貴だったんだから」
やっぱり。
俺は言葉を噛み締めた。
「…一番に預けていたのは……恋羽だよ。まぁ、裕貴が一番に大事に思っていたのも恋羽だったし…お互いが思い過ぎる結果になったんだ」
寂しそうな声色。
灯真から聴いた通り。
お墓の前で泣き崩れる恋羽。
そんな姿を想像して、心が痛くなる。
きっと卒業式の日に、大好きな人に愛に行ってくる…とは、裕貴のことだったんだ。