もう一度、君と…。
「雪道君!衣装の採寸お願いします!」
衣装係の女の子に呼ばれて、無表情になってしまう。
「…分かった」
俺は女の子には余り笑顔を向けれなくなってしまった。
…それは、もう後悔したくないからだよ。
絶対に恋羽を悲しませない。
遊びなんてしない。
好きな子だけに自分を見せれる奴になるって決めたから。
恋羽の試合をみて…さらに確信した。
また…同じ過ちを犯さない。
泣かせたり、悲しませたり、辛い思いはさせたくない。
あの泣き顔を思い出すだけで…胸が痛い。
女の子は衣装採寸で図り始めた。
「…雪道君は好きな人とかいないの?」
いきなりだった。
「…え」
面食らった俺は、固まる。
すると、フッと笑う女の子。
「…あら、いるんだ?」
楽しげに俺を見つめる。
…確か、香武 架純(こうたけ かすみ)だよな。