もう一度、君と…。

「…うん」

俺は真面目に頷いた。

「へぇ…本気だね。いいなぁ…青春♬」

香武はクスクスと笑う。

「…まぁね。その子には…幻滅されてるけど」

俺はポツリと呟いた。

でも香武はその言葉を聞き逃さなかった。

「…ふーん?片想いね。精々尽くすことね」

ふわりと笑い、俺から離れていく。

…不思議な奴だな。

「…そーだな」

俺は香武の後ろ姿に答えた。

…精々尽くすことね。

了解。

「…灯真」

俺は向こうで作業をしていた灯真に声をかける。

「多和からなんて珍しいね。どーした?」

灯真は俺に近寄って来た。

「…ミスターコンテストの枠ってまだアリ?」

真剣な俺に、灯真はブハッと笑った。

「大丈夫だよ。無くても俺の生徒会長の権限でいくらでも増やしてやんよ!」

そう。灯真は生徒会長。

目立つことが好きで、皆の期待に応えることにもプレッシャーもない灯真は抜擢だ。

…自由人の割りにしっかりしている。

まぁ…枠増やすってくらいだから、結構自由気ままにやってくれちゃってるけどな!笑

「…ありがとう。頑張ろうと思う」

「いいんじゃないか?香武架純にでも嫌味吐かれたか?」

灯真はニヒニヒと笑い出す。

俺はビクッと肩があがる。

な、なんで知ってんだよ。

俺の反応に更に笑い出す灯真。

「架純は俺の従兄妹だから…。俺が多和に嫌味を吐いてくれって頼んだんだよね」

…もしかして、コンテストに出させる為に?

なんでそこまで…。

もしかして、友達思い…

「だって、多和みたいにイケメンでなきゃこの学校になんか文化祭皆こねぇーよ」

大真面目な顔して言われる。

「……そうでっか」

俺は期待して損した気分になった。

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