もう一度、君と…。
「そんなことない!俺は…ちょっと胸小さくねぇねか…って思っただけだよ!」
俺の言葉に、2人は顔を見合わせて…吹き出した。
「多和、それ否定してないって!見てたんじゃん!」
「マジかよ!多和ってそんなキャラだったのか!エロっ!」
2人にからかわれ、顔が赤くなる。
「そ、そんなんじゃねーし」
だって…恋羽だったら、もっと可愛いんだろうなぁ。
なんて柄にもないこと思っちゃったんだよ。
これがもし恋羽なら、話しかけてたかな?
女子を見てると毎回思う。
『恋羽だったら…』
心の中で1番多く使った言葉。
「顔が赤いって!」
那智に爆笑されて、片手で頬を触る。
…確かに熱い。
冷ます為に、もう片方の手も頬に当てる。
【それでは皆様、今からミスター・ミスコンテストを始めます。】
…なんかゆったりと始まるんだな。
堅苦しいのよりもいいけどさぁ?
【まずはミスターコンテストの参加者を発表致します。呼ばれた方は舞台に上がって下さい。】
周りは更にガヤガヤとうるさくなった。
「ねー、あの人たちじゃない?タキシードしてるし!」
「ホントだ!イケメンだ!」
周りの女子が俺らに集まってくる。
うわっ!
鬱陶しいから、離れろや!
【まずはNo.1、原田 拓海(はらだ たくみ)君です。拓海君は2年生で、運動神経抜群です。ーーー」
他にも沢山説明がつくが、省略しよう。
聴いてるの面倒くさいや…。
眠いし…。
【No.2、宇多田 那智君。今年3年生で三年間3位の結果です。学校では『オモチャの国の王子様』と評判。そして、今はハンドボールのチーム・羽翼で活躍中!】
俺は笑いを堪えて那智を見ると、見るからに不機嫌。
「……『オモチャの国の王子様』の異名隠してたのに、なんでバラすの」
那智はあからさまの不機嫌のまま舞台に上がって行く。
さっきの原田君より歓声は大きい。
当の本人は、「那智くーん♡」と呼ばれて、急に笑顔を作ってカモフラージュ!笑
【No.3、他校の高美桜笑高校の間宮慶介君です。今年は3年生で、高美桜笑祭ではミスターコンテストで3年連続優勝を飾っています!去年の繋田祭の優勝者でもあります。高美桜笑でのあだ名は『ベタ惚れ王子様』だそーです。】
「…なんっかイライラする」
慶介はこめかみを抑えて、怒りを抑えている。
「すげぇーじゃん?3年連続優勝だったんだろ?…『ベタ惚れ王子様』は聴かなかったことにしとくわ」
笑いを堪えて、慶介の肩を叩く。
「嗚呼、それはありがたいわ」
そして、舞台に上がって行く慶介。
ニコニコとさっきの怒りが嘘のように笑う慶介。