もう一度、君と…。
…恋羽。
「……恋羽」
声が聴こえて、思わず何かを握る。
あったかくて…昔、一瞬だけ触れたことのある小さい手。
あの時、確かに触れた。
触れたら壊れそうで…触れることができなかった。
でも…あの時は一瞬だけ勇気がでた。
あの時、指先だけだったけど…触れた。
「…好きだよ」
あの時は確か、照れ臭くて…。
まぐれて触れちゃったことにしたんだ。
あれは偶然なんかじゃない。
必然なのに、自分の意思で触れた。
あの時、いつも無表情だった恋羽が…。
一度だけ俺に見せた照れた笑顔だった。
「…多和っ、起きてよ」
「えっ?」
起きると…恋羽が真っ赤な顔をしていた。
ん?
俺は首を傾げる。
なんで恋羽がいるの?
でも…幸せだな。
恋羽がいてくれてるんだから。
どうせ夢だよね?