もう一度、君と…。
もっと強く…
「中学生とは思えないな。こいつら全国出たスタメンだぞ?」
喜んでいる小川先生。
竹田先生は誇らし気に笑っている。
「…じゃ、休憩して、ウチのエースに頼むか」
そして小川先生は、暁先輩ともう一人の肩を叩いた。
「…兄ちゃんとキャプテンの月沢(つきさわ)先輩」
「本気出す程、私達に強いと証明したいのかな」
「…だろうね。負かしときたいんじゃない?」
「…じゃあ、尚更勝ちにこだわりたいな」
「…俺も思った」
汗を袖で拭いながらニカッと笑う。
私と啓は水分補給。
「…兄ちゃんは、3ポイントもセンターも一人で二役やってる。月沢先輩は小柄だけどガード。よく視てるから危ないよ」
「…じゃ、ハーフコートのゾーン。ワンワンは無しで二人で左右につこうか」
なんとしても暁先輩を、ポストの位置に入らせない。
「…3ポイントはどーする?」
「私がカットする。シュートを弾く。だからその後は啓に任せるよ」
啓の実力は確実に高い。
「分かった。オフェンスは?」
「どっちかがついたら速攻。ゾーンは二人でゆっくりと攻めよう」
「…よし」
啓はゆっくりと立ち上がる。
そして私に手を差し出した。
「恋羽、行こう」
あたしは少し笑って、その手をとった。
コートに立つと、懐かしい気持ちが胸に湧き上がってきた。