もう一度、君と…。
「…男子バスケ部のマネージャーの希望なのか?」
暁先輩は私を真剣に見つめる。
「…女子バスケ部に入るつもりはありません」
最後はバッサリと言い切った。
「…」
「…分かってるんです。私、元は……」
私は泣きそうになった。
「…ハンドボールの選手だったから」
私には、バスケの才能がある訳じゃ無い。
ただ‘‘叩き落とす”才能があるだけ…。
私はずっと悩んでいた。
バスケに入ったのはただ単に、誘われたから…だった。
中学校にハンドボール部なんてなかったから。
そこで…竹田先生に誘ってもらったんだ。
「…私、竹田先生にはとても感謝してます。でも…私の心は、ハンドボールをやっている感覚でずっといました」
「「…」」
皆は黙って聞いてくれていた。
「きっと、ゴールに入る音に…囚われていたんです。…分かってくれますか?」
私はハンドボールとバスケを重ね過ぎてた。
「…恋羽」
啓は私をギュッと抱き締めた。
「…俺はずっと分かってましたよ?恋羽がシュートの時だけは笑顔だったから…。ずっと恋羽の事見てたから…。泣かないで?」
小さい子供をなだめる様に、啓は私の顔を見て切なそうに微笑んだ。
「…俺、マネージャーやって欲しいです」
振り向くと、暁先輩がいた。
「泣くなって。…きっと、恋羽の心はシュートの軽快な音に囚われ続ける。解放してやりませんか?」