もう一度、君と…。







彼、雪道多和との出会ったのは…、中学1年生の頃。

「…ねぇ」

後ろから声を掛けられた。

「…」

でも、振り向くほど…私はお人好しではない。

だって皆、告白目当てだったから。

入学当初は振り返っていたけど、
「…すみません。声が聴きたくてつい」
そんな言葉ばかりだった。

「…おい、美人ロボット」

別に失礼な奴だな、とも思わなかった。

「…何?」

声だけ返事して、歩き続ける。

「…アンタ、美人だと思ってんの?」

鼻で笑われて、少しイラっとくる。

初めて思った。

「…違う。ロボットに反応しただけ。何?」

「学年1位はアンタだろ?…鬼ごっこな。『女神のセンター』」

私はその言葉に驚いて振り返った。

『女神のセンター』とはあるスポーツ界での小学校の時の異名だったから。

…でも、そこには誰も居なくて…。

放課後だったし、誰が誰だかわからない奴に「鬼ごっこな」と言われたのは初めてだった。

それから、数日後…テストで2位だった雪道多和が複雑そうに私を見ていた。

「…アンタ、何でも出来そうだな」

「…そんなことないけど。2位も十分凄いじゃない?」

「…そんなことない」

こうして色々と語り出して…。

しまいに付き合ったんだ。




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