Candy of Magic !! 【完】
Prologue !!
入学式
「新入生の諸君、入学おめでとう!そして、聖ナヴィア魔法学園へようこそ!」
目の前の壇上には男の校長先生が、マイクがキーンと嫌な音をたてるぐらいの大声で歓迎した。
慌てて音量を下げたのか、嫌な音は収まる。
隣にいる女の子が驚いて耳を塞いでいたのが不謹慎にも笑えてきた。
あれだね、黒板に爪たててキーって音が鳴るのがダメな人だね。食器の擦れる音とか。
まあ、私は平気だけど。
「諸君は総勢120人だ!1クラス20人の6クラスある。少人数ではあるが、それは君たちが選ばれし先鋭だからである!
君たちはこれから4年間この学校で暮らすわけだが、頼れる先輩や先生が君たちをサポートしてくれるから心配する必要はないぞ。
もちろん、私も全力でサポートしてあげよう。では、これからの学校生活に大いに期待していてくれ!健闘を祈る!」
校長先生が壇上を闊歩し階段を降りて行った。小柄で小太りな先生はよたよたとしながらも無事降りられた。そのほっと安堵した表情にも私は笑えてきてしまった。
ああ、なんでこんなにも些細なことに笑いの衝動が起きてしまうんだろう。そんな自分が恨めしい。間違っても笑っちゃいけないのに。
うん。原因はわかってるんだ。なんでこんなに情緒不安定なのか。
……妖精がね、いるのね。うん。
しかも、壇上の机の上。尻尾でとぐろを巻いてうたた寝してる。見た目は……ネコに近いかな。でも、少し透けててしかも赤色。
そのネコがね、今にも落ちそうなんだ。机からズドンッて。その心配はないんだけどね。妖精は身体がふわふわ浮いてるみたいに身軽だから。
でも、人間が首をコクリとさせるのと同じで、前足に乗せてる頭が今にも机の上から落ちるんじゃないかっていうぐらい傾いてる。
それが気になって気になって仕方ない。それに、皆はあのネコが見えてない。ネコだけじゃなくて、あの緑色のイヌも、青のゾウも、赤のクジャクも見えてない。
そんな妖精たちが上とか目の前とかをふわふわと移動していて気が散る。思わず目で追ってしまって慌てて目をそらす。はたから見れば何してんだ?って感じに見られ兼ねない。
どうか、落ち着きのない新入生でしか見られませんように!
その後は事務的な簡単な説明だけをされて入学式は無事に終わった。1年生は4階だ、とか。席は黒板に書かれている指定の席に座れ、とか。
まあ、入学式って言っても私たち新入生と先生しかいない。だだっ広い体育館に私たちだけ。在校生は出席ではなかったのだ。
私たちの学年カラーは青。私は青いリボンを揺らしながら指示の通りに退場する。
皆で列になって体育館を後にした。
向かった先は1ー1。私は1組に振り分けられたのだ。各クラス男女共に10人ずつ。顔見せがまだだからどんなクラスメートがいるのか気になるところ。
とにもかくにも、教室にそのままたどり着いた。
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