Candy of Magic !! 【完】
『久し振りだな……』
『死んでから転生しましたけど……やっぱり引き寄せられる運命なんですね』
『そうだな。俺はここでおまえをずっと待っていた』
『遅くなってすみませんでした。これで、やっとまっさらになれますね』
『こいつらにも、迷惑かけたな……』
目の前には、紫色の光と、青い光が漂っている。辺りは一面真っ白だ。染みひとつ見つからない。
そこに、ふわふわと浮いている。
『私たちの思念が邪魔をしてましたもんね』
『お互いを大切な人だと勘違いしている節があるからな……それも、今日までだ』
『寂しくなりますね』
『また、会える』
『きっと、また会いましょうね』
二つの光が薄くなり始めた。だんだんと白い色に変わっていって周りと同化し始める。私はそれを焦りながら見ていた。
待って……あなたたちは、誰なの?
『私たちは、あなたの先祖。よーく知ってる人だよ。今まであなたの奥底に眠ってたんだけど、指輪が解き放ってくれた……私はある人にまた会いたいと強く願ってしまったの。それが原因で、あなたたちを呪縛してきた』
あなたたちって……私と誰のことなの?
『すぐ隣にいるじゃない。もう彼に執着する必要はなくなったの。彼が彼じゃなくなるから』
『俺はもう未練はない。だから、俺たちのせいで結ばれる必要はないんだ』
『私たちが結ばれたから、あなたたちも結ばれなくちゃいけないわけじゃないよ。だから、自由になって……』
『あいつが、待ってる』
隣を見れば、同じような青い光。でも、それはふっと消えてしまった。代わりに、少し遠くのところに赤い光が浮いているのが見える。
その光は、酷く懐かしかった。胸から想いが込み上げてくる。
また、会えた……
なぜかその想いだけが、心を占めていた。感動に身を任せる。
『俺は、あいつに今度は譲りたいんだ』
『譲るって……人を物みたいに言わないでくださいよ!』
『実際、俺たちはおまえを取り合っていたんだ。そうなるだろう』
紫と青の光は徐々に昇天し始めた。ぐるぐると螺旋状に昇っていく。高くなるにつれその声は小さくなり、色も薄くなり、やがては何も見えなくなってしまった。
それを、ほっこりとした気持ちで見送った─────