Candy of Magic !! 【完】
綺麗な蛇……じゃないな。
龍だ。細長い胴体に青い鱗。優雅な長いひげは銀色に輝いていて僅かに揺れている。
どこから現れたのかはわからないけど、その姿を目にした瞬間、胸を埋めたのはどうしようもない懐かしさ。涙が出そうになるほどの。
思わず鼻をすすっていると、龍は私に近づいて来て頭(こうべ)を垂れた。何?と思っていると、その透き通った青い瞳が真っ直ぐ私を捉える。
『あなたは、末裔』
いきなり頭に声が響いてきた。綺麗な女性の声で、直接脳内に響いてくる。
「末裔?」
『あなたは、末裔。選ばれし人の子。世界が破滅の道をたどりし今、目覚めの時は近い』
「破滅って……また?」
何回この世界は滅びようとするんだろう。神様はいったい何をやってるんだか。
『違う。あなたの世界ではなく、私たちの世界。あなたの世界の裏側にある世界』
「じゃあ、あなたは誰なの?」
『私はあなたたちがマナと呼ぶ者。私たちを救えるのは、あなただけ。末裔は選ばれし人の子』
「だから、末裔って誰の?」
何を言っているのかよくわからないくて声を荒立てる私。それでも龍は教えてくれなかった。でも、ヒントみたいなことを残して去って行った。
『剣と鈴、そして翼』
それだけが私の頭の中にこだましていって、私の意識は途切れた。