Candy of Magic !! 【完】
俺たちは一度、会っている……?
飴を舐めることも忘れて先輩の顔をぼんやりと眺める。先輩は自嘲気味にふっ……と吐息を漏らした。
私の唇に向かって熱い微風がかかる。
「覚えていないとはショックだな」
「……」
「なら、思い出させてやろうか」
私が何も言えず黙っていると、先輩の整った顔が降ってきた。
そして、そのまま私と額をコツンと合わせて、静かに私の唇に先輩の同じものが触れた。
「甘いな……」
……なんか、先輩の態度も甘いです。
そう思っていると、先輩が自分の唇の周りをペロッと舐めた。
でも、それだけで記憶の引き出しから引っ張り出すにはじゅうぶんだった。