Candy of Magic !! 【完】
でもね、なんかわからないんだけど、さっきの夢みたいので肩の荷が降りたっていうか、カチッと残りのパズルのピースがはまったっていうか……
一線を引くのって実はいらないことなんじゃないかって、意味のないことなんじゃないかって思えてきたんだ。
そう思ったらね、自然と笑みが溢れたわけで。
ユラの言葉にまたクスクスと笑いだした私にユラが怪訝そうな顔をする。
「……笑いキノコでも食べた?」
「ふふふ……そんなの食べてないよ。ごめん、いつも私って臆病だったから無意識に距離を置いていたんだよ。でももう臆病を卒業して、自分のやりたいようにやろうって決めたんだ」
「ミク……あ、ごめん。あたしもヤトももう向こう行かないと」
「うん。私こそ引き留めててごめん。話したくなったら……続きをいつか話してあげるね」
「わかった。いつでも待ってる」
ユラは穏やかな表情でそう言うと、ヤト君を引き摺るようにしてトラックの反対側に移動して行った。ユラが座っていた私の後ろにソウル君が座る。
「臆病?おまえが?見えなかったけどな……」
ソウル君は今走っているクラスメートを目で追いながらぼそっと呟いた。私も目で追いながらぼそっと答える。
「それは虚勢を張ってただけ。表と裏がまったく同じ人なんていないよ」
「俺はよく裏表のないやつって言われるんだけど……なんで?」
「それはね、裏表のないやつだって言われてもその原因が見当たらないからだよ。表も裏もわからないんでしょ?それがわかったら裏表のある人になる」
「なるほど……じゃあミクは裏表があったのか?」
「どうだろ。確かに親しい人とはテンション高かったけど、初対面は普通だったかな?そもそも今まで大人とばかり関わってたから同い年は気が引けてたかもしれない」
「うーん……俺もさ、時々感じるときあるよ。先輩たちと行動した後同年代と行動するとさ、なんか幼いなあバカだなあって思うんだよね。失礼だとは思うんだけど、1年や2年の差って大きいんだなって思う」
「うんうん。自分が大人びて感じちゃって、いざ同い年と話すとそのテンションについていけないんだよね」
なぜか暴露話に突入してしまったけど、でもこうやって思ってることを共有することは大事なことだと思う。それに、意外とソウル君とは馬が合うみたいで、さっきから共感の頷きしかしてない。
ソウル君も感じてるみたいで、俺たち気が合うみたいだな、と笑っていた。