Candy of Magic !! 【完】
「おや、貴様らどちらもついて来られたのか」
「心外だ。俺たちだって認められる素質があったんだ。器が大きい証拠だ」
「そこの色男は魂からして素質は申し分なかったが……そこのチビは意外だ」
「誰がチビだよ!おまえだってチビだろーが!」
「器量は浅いな。無駄に広いと見える」
「ぐっ……」
俺はそこでつまった。噛みついても軽くかわされるから自分が惨めに思えてくる。
先輩は色男と言われて一瞬眉間にしわを寄せたけど、気を取り直したように口を開く。
「湖、か。広いな」
「当たり前だ。ここにはあるものが沈んでいる」
「あるもの、とはなんだ」
「『島』だ。紫姫が何処かへ飛ばした世界を滅ぼすことのできる兵器……それがここに沈められている」
『島』とは、紫姫の母親が怒り狂って使用した兵器のことだ。そこから放たれる光線はこの世界を消滅させることのできる力が秘められていた。でもそれを未然に阻止し、さらにその光線を魔物が溢れていた時空の歪みである『穴』へと放ち、世界は守られた。
けど、その光線を放つには紫姫……それと紫姫の血縁者の集まりである紫族の命を生け贄にする必要があった。紫姫の命だけでも作動するけど、紫族の命を使えば力を強化させることも可能だった。
それで……紫族は全員生け贄にされて、紫族はこの世から消え去った。