悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~






怠さに必死に耐えながら、
ノートパソコンを開いて、
中断していた徳力の仕事の業績・報告などを
目を通して、布団の中に倒れこんだ。






何時になったら、
力の対価とやらに
体が馴れるんだよ。





その日、夢の中で
久しぶりに、両親の夢を見た。





穏やかな顔で笑う
母さんと父さん。





二人の手を掴もうと
手を伸ばす。




どれだけ手を伸ばして、
その手に触れることは出来ない。




求め続けても得られない悲しみ。


涙を流しながら目覚めた俺の周囲に
黒い影が寄りついてくる。






『母殺し、父殺し。
 お前が殺した過去は何も変わらない。

 この手を取るがいい。

 苦しまぬ世へと、
 お前を責めぬ世界へと連れて行ってやる。

 お前を幸せにしてやるから』





不気味や暗闇の中から、
惑わす優しい声色だけが響いていた。


< 46 / 104 >

この作品をシェア

pagetop