悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~
怠さに必死に耐えながら、
ノートパソコンを開いて、
中断していた徳力の仕事の業績・報告などを
目を通して、布団の中に倒れこんだ。
何時になったら、
力の対価とやらに
体が馴れるんだよ。
その日、夢の中で
久しぶりに、両親の夢を見た。
穏やかな顔で笑う
母さんと父さん。
二人の手を掴もうと
手を伸ばす。
どれだけ手を伸ばして、
その手に触れることは出来ない。
求め続けても得られない悲しみ。
涙を流しながら目覚めた俺の周囲に
黒い影が寄りついてくる。
『母殺し、父殺し。
お前が殺した過去は何も変わらない。
この手を取るがいい。
苦しまぬ世へと、
お前を責めぬ世界へと連れて行ってやる。
お前を幸せにしてやるから』
不気味や暗闇の中から、
惑わす優しい声色だけが響いていた。