悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~
桜瑛の名前で存在する
プライベートルーム。
エントランススタッフに
持ってこさせた
お茶をテーブルに置いて、
ソファーに腰かけながら開くのは
テスト勉強を兼ねたテキスト。
お茶を飲みながら
ノートにペンを走らせている時、
エントランスからのベルがなった。
「ご当主、秋月さまがお越しになりました」
「通せ」
一言だけ返して応答すると、
暫くすると着物姿の桜瑛が
合鍵を使って部屋の中に入ってきた。
部屋に入ってきた桜瑛は、
求めるように俺に抱きつく。
抱きついた桜瑛のぬくもりに引き寄せられるように
お互い触れ合う唇。
その温もりとともに駆け巡りはじめる
桜瑛の気が俺の中に浸透していくと
浸食された闇の気は、今以上に小さくなり
桜瑛の温かい気に全身が満たされた。
それはまるで体が浄化されるように
神聖な行為のように思えた。