悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~
☆
幼い時からいつも一人……隔離され続けた生活。
アイツの傍には、
倉智の名乗った男が一人。
そんなアイツの元に寄り添うように姿を見せたのは、
司宮竜也(つかさのみやたつや)と
呼ばれていた朱鷺宮の実の兄。
司宮と遊んでいた時間を見た倉智は、
朱鷺宮が唯一楽しみにしていた
その時間をも奪い取った。
全ては、影宮の贄として
無事に朱鷺宮を降家させるため。
闇の中、その身を深く鎮めながら
アイツは独り床に座って何かを描きつづけていた。
幼い朱鷺宮の記憶。
☆
俺には……アイツが居てくれた。
うちの奴らは、
俺からアイツの存在を奪う事はなかった。
だから……今の俺は、
ここで歩き続けることが出来る。
だけどコイツには……。
少しでもいい。
アイツが俺の気配に気が付いてくれたら。
危険な行為と知りながらも、
朱鷺宮がいる場所を辿るように
意識の中へと潜り込んでいく。