悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~

14.護符に秘められし想い





生駒からの客人・柊。。


現・生駒家当主の姉にあたる
蒼龍の神子とは、何度も面識があった。

俺自身も世話になったその人は、
ゆっくりと俺の方に視線を向けた。


「ご無沙汰しております。
 
 影宮の長」



そう言って静かに膝をおる。



「柊さま、あちらでお話しを伺えますか?」


華月の声に一斉に涼夜の部屋を離れて、
奥宮の広間へと案内された。




「まずはこちらに向かうのが
 遅くなりましたこと お詫び申し上げねばなりません。

 徳力の大事と聞き及び、何かお力にと思いつつも
 先に案じたのは我娘と姪のことでした」


その娘の名が夕妃。
姪は蓮吏の事だったか。


「夕妃と蓮吏の身に何か?」



不安を吐き出すように呟く華月。



「ご心配には及びません。
 
 あの子たちの傍には常に櫻翼が
 寄り添っています。

 それがわかった今は、
 何も心配することはありません」



静かに続けた。



櫻翼は華月の弟。



亡くなった、その人が何故
二人を守っていると言い切れるんだ。




「櫻翼の望みを叶えてくださったのは
 闇寿殿なのですね」




柊と呼ばれたその人は、
ゆっくりとした口調で紡いだ。


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