悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~
「あぁ、手綱はひいてやるよ」
手綱はひいてやるだと?
相変わらず上から目線で
物言いやがって。
そうやってアイツの言葉に
いちいち弄ばれてやる世界も悪かない。
「せいぜい、手綱ひけるくらいに
力つけろや。
鷹宮に行く。
久松、ヘリを出せ」
涼夜の部屋を出て広間に顔を出すと、
生駒・秋月の客人たちがもう一度、深くお辞儀した。
その前を通り抜けると、
万葉がヘリのところまで、
俺に付き従うように歩いていく。
鏡の外に出て来た途端に
宝剣と呼ばれた剣も人型をとる咲貴の姿も消えた。
ただ刻印が刻まれた
その場所だけは、
滾るように脈打ち続けていた。