悠久幻夢嵐(2)－朱鷺の章－Stay in the Rain～流れゆく日々～

2.春休みのデート

春休み、突然告げた
飛翔の母校に通いたいと言う想い。


アイツの行動は早くて、
数日の間に、
悧羅校の一時休学の手続き。


そして高校の三年間を、
悧羅校を離れて飛翔の母校でもある
香宮学院に入学するべく、
編入試験を特例で受験することになった。


慌ただしく過ぎていく春休み。


学校の準備の合間に、
徳力のこと、そして徳力請け負う
もう一つの役割
『土地神の結界を保つ』仕事を
やり始めていた。




そしてその仕事をするために、
出逢った、他の二つの一族。



秋月家・生駒家。






三家との合同で動く、
仕事があるたびに顔を突き合わし続けたのは
ガキの頃、徳力主催のパーティーで話しかけてきた
同い年の秋月桜瑛(あきづき　さえ)とも
腐れ縁のような付き合いになっていた。





時折、お互いのスケジュールをあわせては
何度かあっていた俺たちの時間が
突然変化したのは、今から六年前。



六年前、秋月の姫が誕生すると
桜瑛は『火綾の巫女』とならに就任して
常に、深優姫と名付けられた少女と
行動を共にすることを要求された。


住み慣れた家を出て、
一人、総本家へと養子縁組されたアイツ。




それ以来、仕事の時以外は
自由に行き来が難しくなっていた。





ふとマンションの自室に戻った俺は、
ベッドに寝転びながら、
アイツの連絡先を表示させる。



何度目かのコールの後、
久しぶりにアイツの声を聴いた。