「 」で出来てく物語
【マフラー】
白雪「いいなー七世くん。マフラーあったかそう」
七世「あげようか?」
白雪「えっ、そういうつもりで言ったんじゃないから大丈夫……!」
七世「姉が当時付き合ってた彼氏からもらったけど、色が好みじゃないって言って俺に押し付けてきたブランド物のマフラー」
白雪「ますます大丈夫……七世くん大事に使いなよ……」
七世「どこの誰かも知らない男が、姉のために働いた金で買った高いマフラーをしている弟の気持ちを考えて欲しいよな」
白雪「して来なきゃいいんじゃない?」
七世「もったいないからつけろって、半分面白がりながら毎朝玄関でマフラー持って立ってるんだ……」
白雪「かわっ……おもし……ユ、ユーモアのあるお姉さんだね」
七世「一言で変っていって大丈夫だから」
白雪「……ごめん」
七世「白雪は……あれ、一人っ子?」
白雪「あ、ううん。お兄ちゃんいる」
七世「そーなんだ」
白雪「うん、3歳離れてる」
七世「うちと一緒だ」
白雪「えっ、そうなんだ! 高校はここ?」
七世「うん、たぶん」
白雪「へぇー! 七世くんのお姉さんとうちのお兄ちゃん同級生だったんだー! 知らなかった!!」
七世「偶然だね」
白雪「そうだねぇ」
七世「お兄さん家に居るの?」
白雪「ううん、高校出てすぐ違う県に仕事しに行っちゃったから。お正月とかしか会わないんだー」
七世「うらやましい」
白雪「えっ、全然! 寂しいよ」
七世「ずっと家に居るのも考えものだよ」
白雪「そういえば七世くんのお姉さん元ヤンって……」
七世「よく知らないけど……俺が中学の時はそれっぽい人達が、よく家に出入りしてた」
白雪「い、今は……?」
七世「常にブランド物の時計とかアクセサリー付けてるスーツの男の人がよく出入りしてる」
白雪「お、おぉ……お姉さんモテるんだね」
七世「見た目はたぶん悪くないから。中身はヤバい」
白雪「わたし、大丈夫かな……七世くんのお姉さんと仲良くなれるかな……」
七世「大丈夫じゃない? 基本、弟のモノには興味ないから、害はないと思うよ」
白雪「(モノ……!? モノって……わたし、七世くのモノって意味だよね……!?)」
七世「白雪?」
白雪「そ、それは照れます……!!」
七世「えっ」
白雪「でも……嬉しいです」
七世「あ……はい」
白雪「今度お姉さんにも会わせてね」
七世「うん……気は進まないけど」