「 」で出来てく物語



【雷】



春太「うわ、窓見てみ窓!」


七世「……見た」


春太「どう?」


七世「どう……って。透明で……硬そう?」


春太「そういう意味じゃねぇよ! 窓の外を見ろっつってんだよ!」


真白「最初から外見てって言いなよお。そしたら喧嘩にならないんだから」


春太「今のはひねくれた七世が悪い」


七世「オレは見ろと言われたものを見ただけだ」


真白「……うわ! 今雷鳴った?」


春太「だーから、天気やばいからオレは外を見て欲しかった」


七世「雨降りそう」


真白「わ! また光ったよお! 絶対雷だよお……!」


春太「ははは、本当真白は怖がりだなぁ……女子だったらいいのに」


七世「心の声漏れてるぞ」


春太「だってさ、普通雷鳴ったらきゃー! とか言って、雷こわーい! とか言うだろ! 普通の女子は! 普通はな!」


桜子「ねぇ、今雷鳴ってたよね? 春太の頭に落ちろって神様にお願いしておいた」


春太「……このザマだよ」


七世「全ての女子の基準をその女に合わせるな。白雪は普通に怖がるから」


桜子「おい」


春太「ッチ! ノロケかよ!」


桜子「いや、だからおいって」


真白「あぁあ! 近いよお! 雷が近づいてきてるよお!」


春太「大丈夫だ真白。あの雷、今に桜子にビビって逃げるから」


桜子「雷より強いのかあたしは」


春太「知らなかったのか。俺はだいぶ前から知っていた」


桜子「誰かこいつの頭に雷直撃させて」


七世「雨ふんなきゃいいけど。傘持ってきてねぇ」


真白「あ、俺持ってるよ。折りたたみ」


七世「じゃあ帰り入れて」


真白「うん!」


春太「……おいよく考えろよ。野郎2人で相合傘はキツいだろ」


七世「そういうお前は傘持ってんのかよ」


春太「あるよ。赤いチェックの折りたたみ」


桜子「おい! それあたしのじゃん! いつの間に!?」


春太「あそこらへんに落ちてた」


桜子「机の横にかけてあったのは、落ちてたといいません……!!」


春太「だって名前ついてなかったし」


桜子「誰が傘に名前書くか!」


七世「……もう2人で相合傘して帰ればいいじゃん」


春太「だから男2人で相合傘はキツいってば!!」


桜子「女ですけど……!! まじ雷落ちろこのバカ男!!」





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