「 」で出来てく物語
【ダンゴムシ】
真白「あれ? 鈴木……こんなとこで何してんの?」
鈴木「……ダンゴムシの観察」
真白「ダ、ダンゴムシ……」
鈴木「つつけば丸まるんだよ」
真白「うん……知ってる」
鈴木「中原くんもやる?」
真白「遠慮する……」
鈴木「可愛いのにな」
春太「おせーよ真白! どんだけトイレなげーんだよ!」
真白「ごめん、なんか鈴木が男子トイレの前で変なことしてたから」
七世「変なこと?」
真白「ダンゴムシ丸めてた」
七世「……俺、鈴木苦手なんだよね」
真白「珍しいね、七世がそういうこと言うの。基本他人に無関心なのに」
七世「だって、なんかよく分かんねーけどアイツ俺にめっちゃ虫とかカエル見せに来るんだよ」
春太「クールでイケメンが売りの七世の唯一の弱点が虫だもんな。虫とか見ると泥棒を警戒する犬みたいな顔してるよお前」
七世「どんな顔だよ」
真白「うーん……なんていうか、不思議ちゃんだよね」
春太「不思議ちゃんつーか、不気味ちゃん。見た目は可愛いのにもったいねーよな」
真白「あ、ほら。戻ってきた」
鈴木「? なんでわたしのこと見てるの?」
真白「あ、いや……! ちょっと鈴木の話してたから」
鈴木「そうなの。あ、間宮くん」
七世「…………なに」
鈴木「見て、お友達」
七世「うっわ」
真白「ダンゴムシ……持ってきたんだ」
七世「……俺どっか行ってくるわ」
真白「あ、うん……」
春太「あーあ、怒っちゃったよ。ダメだろ鈴木。アイツすっげー虫嫌いなんだよ」
鈴木「うん、知ってる」
春太「は? ……知ってんの?」
鈴木「知ってるよ」
春太「じゃあなんで……」
鈴木「いつもは表情ひとつ崩さない間宮くんが、すごい露骨に嫌な顔見せるのが面白いから。わたし、人の嫌がる顔見るのが好きなの」
真白「こ、怖い……」
春太「鈴木……つえーな」
鈴木「三門くんの泣いた顔も好きだよ」
春太「……っ!」
真白「えげつないこと言われてるのに、なんでちょっとときめいてるんだよ」
春太「中身はどうであれ、可愛い子に好きだよとか言われたらあれじゃん……そうなるじゃん」
真白「ダメだ……この人」