「 」で出来てく物語
【文化祭3】
七世「はい、次の人どーぞ」
鈴木「足元、気をつけてね」
七世「…………」
鈴木「最近よく会うね」
七世「クラスメイトだからな。そりゃ会うだろうよ」
鈴木「間宮くん受付なんだね」
七世「鈴木も受付なんだな」
鈴木「最初は裏方だったんだけど」
七世「裏方?」
鈴木「うん、こんにゃく係」
七世「……お前だったのか」
鈴木「普通のこんにゃくじゃ味がないと思って、味噌つけて味噌コンにしたら、こんにゃく係解雇された」
七世「……お化け屋敷に入って顔に味噌つけられるとか、普通に嫌だわ」
鈴木「お客さんに喜んで欲しかったの」
七世「……次の人、どーぞ」
鈴木「足元、気をつけてね」
七世「……悪い奴ではないんだけどな、お前」
鈴木「そう? 間宮くんにいつも嫌がらせしてるのに?」
七世「自覚があるならやめてくれ」
鈴木「うーん、楽しいからなあ」
七世「…………」
鈴木「あ、怒った」
七世「怒ってねーよ」
鈴木「秋は虫の季節ね」
七世「女子が言うセリフか」
鈴木「自分の好きなものを好きと主張することが、カッコ悪いことだとは思わないなあ」
七世「まぁ……そうだな」
鈴木「あ、ポケットに飴入ってた。あげる」
七世「……どーも。次の人どーぞ」
鈴木「足元、お気をつけてー」
七世「……あ」
鈴木「?」
七世「俺もポケットに入ってたから、やる」
鈴木「なあにこれ? 折り紙?」
七世「お前の好きなカエル」
鈴木「えー……見えないなあ、カエルには」
七世「だろうな、文化祭の準備中に暇になって春太が作ってたやつだから」
鈴木「へたくそだなあ……上手なのが欲しい」
七世「今度自分で作ればいいだろ」
鈴木「分かるかな、作り方」
七世「……暇だったら、教えてやるよ」
鈴木「じゃあ、折り紙いっぱい買わなくちゃ」
七世「欲張るな」
鈴木「へへ。……うん、間宮くんと受付やるのも悪くない」
七世「なんだそれ」
鈴木「カエルありがとう、間宮くん」
七世「……おー」